開いたその扉へと迷わず入っていくニア。
その後に付いていくじゃこう。
「じゃこう…。」
呼びかけると振り向くじゃこうだが
言葉もなく吸い込まれるように消えていった。
追うべきか…。
『よせ、あの世に行く理由なんてどこにもない。
ほっとけ。
何よりノエルを残したままじゃないか。』
そうだ。
私は何をしているんだ。
また悲しませてしまうところだった。
リアはドームを解除すると実世界へ戻った。
「そう…そんなことが。」
さっきまでのことを全て話すとノエルは
また悲しい顔をする。
私が一人で危ない事をしたからだろうか。
「あの世…。
ボーダーにそれがあるってことは
もしかして全ての魂がそこに集まって…。」
「全ての魂…。
だけどそこで何をしようとしているんだろう。」
「わかんないけどじゃこうもいたってのが不可解。
番人のくせに…。」
いつからこうだった。
ボーダーを超えて虚世界へ行った時か…。
ボーダーで魔の者を狩ったときからか…。
じゃこうに会った時からか…。
屋敷を出た時からか…。
ニア兄さんと喧嘩した時からか…。
それとももっともっと前なのか。
私が運命について考えるというのも全て運命なのか。
「行く気なの?」
「…行かない。
行けば運命のままになる。」
「運命、運命って結局リアだってそれに振り回されてるだけじゃん。
目を覚ませ。」
殴られると思って目を瞑ったのにそんなことはなかった。
それどころか強く抱きしめてくれた。
「行ってくるね…。」
「うん、ちゃんと帰ってきて…。」
やっぱり危ないところへなんて連れて行けない。
ノエルと別れてあの世へと向かった。