あれから半年。
私は屋敷には戻らずに町に家を建ててもらい過ごしている。
一人暮らしにもようやく慣れて仕事も始めた。
仕事と言っても簡単な仕事。
医者だ。
時間封鎖も使うたびに上達し
今では部分的にだけ治療する事にも慣れてきた。
料理だって少しずつ覚えてきた。
最初は形からだって言われて色々揃えたりもしたけど
そのほとんどはまだ使ってないけど
簡単なものからゆっくり始めよう。
もう焦る必要なんて何もないんだから。
ちなみに料理を教えてくれる先生はアーリンだ。
わざわざ来てもらうのは…って思ってたけど
アーリンもそれが楽しいらしいから
それ以上何も言わない。
兄さんにはあれからまだ会ってない。
その…勇気が出ない。
変な話。
会いたくなったり嫌いになったり
殺そうとまでしたり…。
そのうち昔みたいに会って話も出来るだろう。
あの世へ行った時。
もしかしたらククルやルキに会えるかと思ったけど
そうそう上手くいくもんでもなかった。
兄さんが私を見つけられなかったように
あの人数から見つけるなんて不可能に近い。
だけど、皆あっちできっと幸せ…。
ノエルはというとあの運命から完全に開放されたからか
毎日生き生きとしている。
その日の為にとか
人の為にとか
そういうのが強かったけど
少しずつ少しずつ自分の為に生きてる気がする。
そのノエルだが…今は私の隣で
すやすや眠っている。
なぜだか分からないけど私とノエルのお母さんが似ているみたいだ。
歳だって変わらないのに…。
ノエルの両親の事も当然知ってる。
私の両親は…。
あの二人は本当の両親じゃない…。
別に育ててもらったつもりもないし
本当の両親に会いたいとも思わない。
「リア、おはよう。」
「おはよう、ノエル。」
少し前までは私の方が寝起き最悪だったのに
開放された事によって普段の生活にまで
影響が出てきているのかもしれない。
だけど…しばらくはそれで良いと思った。
両親を失ってからあの日まで
毎日緊張したまま生きてきたノエルが
やっと全てから開放されて
これから本当にしたい事を見つけて
きっと楽しい運命が待っているんだ。
私は…。
また1から探そう。
したい事を。