鏡が綺麗になっている。
あの割れていた部分も
いくら拭いても拭き取れなかったシミなんかも
一切なく新品のように輝いていた。
どうなているの。
あれは夢じゃなかったの…。
なんだか分からないという顔をしていると
アリスが後ろからぎゅ〜してくる。
「おはよーノエル。」
「おはよ、アリス。」
「あれ!?」
アリスが驚いた顔をするのは無理もない。
私だって信じられないんだし。
「ど、ど、ど!?」
私は昨日見た夢の事を話した。
「そうなんだ…。
じゃあ夢じゃなかったのかな?」
そう…。
そうだとしたら分かるけど
そんな非現実的な事はありえない。
過去に行くなんて…。
「でも、不思議な事っていっぱいあるし
きっとノエルの気持ちが伝わったんだね。
この鏡に。」
そうなのかもしれない。
そう思えば良いじゃない。
別に事実なんて…。
それからと言うもの
あの夢は見なくなった。
なんとなくでも心にあった枷が外れたのかもしれない。
決して忘れるわけではないけれど
嫌な記憶なんて
いつもいつも思い出す事なんてない。
結局笑ってるところは見れなかったけど…。
それにバット…。
弟がいたなんて…。
なんで覚えてなかったんだろう…。
なんだかアリスと会ってからまた私の運命が回ってる…。
探さないと…色んな物。