空が落ちてきた。
真っ赤な顔をして落ちてきた。

それは晴天だった日の事。
突如現れたそれは空を青から赤へと変えたかと思うと地に向かって堕ちてきた。



それから1年。
徐々に復興の兆しが見え始めた頃。

「エレメントゲットっ。」

ミトが手に取った宝石。
それがエレメント。
1年前の巨大隕石落下後から発見されるようになった石。
一説にはその隕石の欠片だと言われている。

ミトは剣に仕込んである妙なプレートへそのエレメントをはめ込んだ。
が、全く変化はない。
それでもミトは何かを確かめるかのように腰から細く長い剣を抜くと、
2、3度試し斬りをすると満足そうに剣をしまう。

「エレメント…。」

木の影からそれを見ていた怪しい人物にミトは気が付いていない。
のん気に歩いているミトの背後にその影が近寄って行く。

「ぎゃああああああ。」

!?

突然後ろで叫び声が聞こえたらたまったものではない。
すぐさま振り向いた先には変な格好で倒れている女の子。
自分と同じくらいだろうか…なんて思いながら
少し心配そうに覗き込むとミトに気が付いたのか
素早く起き上がり警戒してくる。

黒にやや赤の入った髪に赤黒いマフラー。
黒いラインの入っている白い服のミトに対して
その女の子は赤紫の髪に赤紫で統一された服装。
2人はこうして出会った。

「あ、あなた、い、い、い、いいいい今の見て無いわよね!?」

「見た。」

大騒ぎしてなんとかしようとしている女の子にミトは呆れきっている。
それに見たとか見てないとかよく分からずに適当に答えたミトだった。

「あの〜急いでるんで私はこれで…。」

さっさと行こうとするとその女の子の動きが止まり、近寄ってくる。

「待ちなさい。
貴女の手に入れたエレメントを渡しなさい。」

!?

エレメント。
それを知っている者は急激に増加している。
ミトもその1人だがエレメント自体が高価に取引されている。
見た目的にも綺麗だし、なによりあの隕石の欠片となれば希少価値もある。
しかも、中には特殊な物があり、ミトがしたように武器にはめると、
戦いの時特殊な効果を発揮する物がある。
中には国が丸ごと買えるほどの金額が付くものも
存在する可能性があると言われている。

ま、ちょうど良いや。
こいつを試してみるか。

ミトは剣を構えると女の子に斬りかかる。

「ちょ、危ないじゃない!?」

なんの効果もないようだ。
ミトが残念そうにしてると女の子が剣ごと奪おうと迫ってきた。

「私のエレメントよこしなさいよ。」

どうやら盗人らしい…。
一見自分の物みたいに言ってるけど…。

「私が見つけたんだから私のでしょ。
買うって言うんなら売っても良いわよ。」

にやりと笑いながら女の子の攻撃を避けると女の子の動きが止まった。

「売るですって?
あなた、それの希少価値がどれほどか分かっていないの?」

馬鹿にされた気分…。

「価値があるから売るんでしょ〜が。
買い取る気ないなら売りに行くだけ。」

「そんな事はさせないっ。」

女の子は金色の扇子を手にすると何かを発動した。
ミトは警戒するが既に遅い。
発動したのはぬすっとのエレメント。
すると、女の子の動きが上がりミトの剣に
はまっていたエレメントを盗んだ。

「何もない普通のエレメントみたいだけどもらっていくよ。」

何も出来ずに盗まれたミトは半ギレすると
しまっていたエレメントをすぐに剣へとはめ込んで発動した。

辺りが急に赤い炎に包み込まれていく。

「!?」

「後悔しなさい。
私が相手じゃ勝とうなんて100万年早いわ。」

そして、剣から現れた赤い炎は女の子を取り囲むかのように
暴れ踊ると360度包囲すると一気に女の子へと降りかかった。

大爆発した辺りの煙が徐々に消えていくと黒焦げの…
いや、七色に光る壁が見えてきて、その中に女の子はいた。

「あぶなっ。
何よ、今の。」

あれを防いだの!?
なんてエレメント…。

「けど、今ので精一杯らしいね。
じゃあこれはもらって行くね。
じゃあね〜〜。」

「あ、待て!」

と、言っているうちに女の子は別のエレメントを発動したかと思うと
あっという間にこの場から消えさてしまった。

「あ〜〜〜逃げた…。」

ま、何も入ってないエレメントなら安いだろうけど…。
なんで何でもかんでも集めてるのかな…。
しかも名前分からないし…探しようがない…。

って…地面に何かが落ちている。

弁当箱…。
綺麗な巾着袋に入っている弁当箱…。

それには名前が付いていた。

2年3組27番ウルネ…。

いつのだよ…なんて思いながらミトは
なんとかして届けたいなんて思ってしまった。

だが、その子を探そうとは思わなかった。
エレメントを集めて回っているのなら
いつかまた会うのは必須だったからだった。


こうして回り始めた運命。
道は違ってもいづれ交わる2人の出会いであった。





戻る