あれからあまり眠れなかったけど
それでも朝が来る。
が、部屋の様子がおかしい。
ぱっと見変わらないのによく見ると変わっている。
特におかしいのは…。
「おっす。」
これだ…。
いや、夢に決まってる。
私はもう一度布団をかぶって寝ようとした。
けど、寝れない!?
夢の中だから寝れなくて良いのか。
だけど、寝ないと起きれない。
あれ…。
なんだか分からなくなってきた。
「うき〜〜。」
がばっと布団を避けると確かにそれは私の目の前に存在している。
見た目は…ヒヨコに服を着させたのが立っている…。
いや〜夢で良かった…寝よう。
………
………
ぴた ぴた ぴた
………
………
ヒヨコが歩いてる…。
私の脳は限界に達して頭も、目も、ぐるぐる回っている。
どこから入ってきたのか不明だし
なんで喋ってるの。
これは夢に決まってる。
得意の寝ぼけだ…きっと。
犬とか猫とか猿なら服着てるのもいたりする世の中だし
レッサーパンダだって立って歩く…。
けど、ヒヨコが歩くの?
服着てるの?
何!?喋れるわけ???
パニックだ…。
布団に潜った状態から隙間を付くってヒヨコの方を見てみると
確かにそれは歩いているし服も着ている。
「いつまで潜ってるわけ?」
うわっ…また喋った。
がばっと布団をはがされるとその正体が…。
ヒヨコがいない…。
変わりに小人が立ってる。
可愛らしい赤黒いドレスに金髪。
まるで人形…。
「何を寝ぼけている?」
ぽかーんとしているとその小人さんが私の横まで来て
ぺちんとほっぺを叩いてきた。
「痛い〜。
何するのよ〜(涙」
「本当にこの子があれなのかしら…。
全然強くないし…ぶつぶつ…。」
何か独り言を言い出した。
今のうちに…。
そーっと布団から出て部屋から出ようとしたが
何かで体の動きを封じられた。
何これ!?
全然動けない。
「ちょ、ちょっと待って。」
慌てた感じで小人さんは私の前に出てきた。
よく見ると目が青い…外人!?
「別にそういうつもりじゃないのよ。」
外人のつもりじゃない!?
どういうこと!?
「叩いたので怒ってるなら謝るわ…ごめんなさい。」
ぺこぺこと頭を下げてくる小人さん。
そりゃ痛かったけど…別に怒ってなんかいないのに…。
それにしても…よく見てみると…
めちゃくちゃ可愛いww
また頭がくらくらしてきたけどなんとか保つと
その小人を思いっきりぎゅ〜ってしてた…。
「ありゃ…!?」
「…。」
完全に伸びている…。
パタパタ
パタパタ
「ん…。」
「あ、起きた?
ごめんね〜つい可愛くて…。
けどけど〜良かった〜。
目覚まさなかったらどうしようかなって思っちゃった(汗」
無言のまま小人さんは床に正座すると頭を下げだした。
土下座!?
ええ…何!?
「ご無礼をお許し下さい。」
「そ、そんな。
とんでもございません。」
とっさの判断がおかしかったのか私も土下座していた。
「…ま、とりあえず…これを。」
話が見えないけど綺麗な赤い石…。
自然とそれに手を伸ばすと温かいぬくもりが伝わってくる。
ドクンドクン
ドクンドクン
まるで生きているかのように…。
意味深にニヤって笑った小人が立ち上がって天に手を向け言った。
「ようこそ、アリスゲートへ。」
第03話〜寝起きの訪問者〜