その小人さんはミクスさんっていう名前みたい。
アリスゲートって国から来た妖精さんらしい…。
凄い夢。
「アリスゲートって言うのは私たちの国なわけなんだけど
グランフォールっていう国の人たちが攻めてきてるの。
それを止められるのは貴女のようにこの宝石の
適合する人だけなの…たぶん…。
見ず知らずの貴女にそんな事頼むなんて
本当になんて言ったら良いのか分からないけど…
私たちも本当にどうする事もできないの。
だから…。」
いくら馬鹿な私でも…。
「そんなの信じられない〜。
てか夢に違いないw」
私は思いっきり自分のほっぺをつねった。
「痛っ。」
夢じゃない…。
「残念だけど夢じゃないの。
それにその宝石を持った時点で…。」
パリーン
突然、窓ガラスが割れ何か飛び込んでくる。
「何!?」
私が慌てて立ち上がってあたふたすると
ミクスが前に出てどこから取り出したのか
いつの間にか持っている小さなスティックを一生懸命振っている。
「あーめー宝石触って〜。」
苦しそうに言うミクスに言われるままに指にしていた宝石に触れると
突然温かい赤い光に包まれていく。
すると体全身に力がみなぎってくるのを感じた。
「きゃ〜何これ…。」
またあたふたする天にミクスが再び言う。
「次は敵を殴って。」
またまた言われたとおりにしようとはするが敵というのがいまいち見えない。
何かが飛び出していったかと思うとあちこちへと移動している。
闇雲にパンチしてみると意外と当たったりした。
そこにいた何かは床に落ちてぐったりしている。
「あれ…当たっちゃった!?」
「お見事〜。
やっぱりうちの救世主様だわ〜。」
ミクスはぱちぱち手を叩いて喜んだ。
「そう!?
やっぱり!?
えへへ〜。」
ただ闇雲にパンチしてみただけでたまたま当たっただけだったのに
天は素直に喜んでいた。
特に誰かから期待されたりする事もなかったのに
いきなり現れた妖精ミクスにこんなにも喜ばれてる。
その事がとっても嬉しかった。
「って…喜んでられないよ〜(汗
窓割れちゃってるし…ママに怒られる〜(涙」
「それはお安い御用。」
ミクスがスティックを振ると不思議な事に
割れていた窓ガラスが綺麗に塞がっていくではないか。
「おお〜ミクちゃん天才!?」
「えぇ?」
「だってだって〜割れてるガラスなんて直せないよ〜(驚
まさか…ガラス職人!?」
「あはは…(汗
これは妖精の能力さ。
皆違う力を持っているけど私のはこれって事。」
コンコンって窓ガラスを軽く叩いてみせる。
「…つまり、ガラス職人!?」
ミクスがドテッとその場でこけた。
「あの〜そこの発想から離れてくれない?(汗
私の能力は物質復元。
あまり複雑な物とか形をイメージできない物は難しいけど
こういったシンプルな物ならいくらでも再現可能よ。」
ぽかーんとしてしまった。
そんな非現実が…。
いや、今更そんな事言っても仕方ない。
これは夢なんだから…。
そう思ってもう一度自分のほっぺをつねってみたが
やっぱり痛かった…。
第04話〜2日目〜