アリスゲート。
結局、学校もさぼってこんな場所にまできちゃった。
その見た目は至って普通。
さっきまでいた場所と変わりない。
ただ、建物とかが随分と未来の形をしてる。
ドラ○もんとかに出てくるドラ○もんの作られた世界のような建物が
あっちを見てもこっちを見ても並んでいた。
「こっちこっち。」
高くそびえ立つビルを見上げていた私が迷わないように
しっかり誘導してくれる…。
「これ付けて。」
手渡されたのは小さなカードのような物。
「な〜にこれ?」
「さっき靴に付けといたからそれにセットしてみて。」
そうそう。
さっき私の靴に1?くらいの小さな物を付けられてた。
ここにセット?
「うわっ!?」
驚いた事に体が軽くなって浮き上がった。
「そのチップを付けると少しだけ体が浮くの。
この専用の道の上でだけなんだけどね。」
「ふ〜ん。」
試しにぴょんぴょん飛んでみるとその跳躍力に驚く。
普通に飛んでいる時よりも随分高く飛んでいるような気がする。
「便利だねえw」
いつまでもぴょんぴょん飛び続ける天に
ロスをぶん投げるとようやくその動きが止まった。
「あ〜〜〜豚肉じゃない…。」
「!?
こら〜俺は食いもんじゃね〜。」
何かブヒブヒ言ってるけど無視っとこう…。
「ミクちゃ…性格きついって言われるでしょ(*¬ω¬)?」
「ぬ…そんなことはありませんことよ…。」
声裏返ってるし…。
「さて準備完了だし行きましょうか。」
「どこへ?」
「私たちの本部よ。」
よくわかんないけど…お偉いさんとかいるのかな。
ちょっと緊張したり。
あ〜〜喉渇いてきた〜〜アイス食べたい…。
ぴょんぴょん飛び跳ねながらしばらく進むと
少し大きめな建物が視界に見えてきた。
「あれが本部よ。」
とか言ってた後の事。
突然の爆発。
目の前にあったはずのその建物が物の見事に消え去ってしまった。
「ええ?」
「緊急事態だわ…こっち。」
あの場所にいた人なんて関係ないって感じの対応をする。
そんなに慌てている感じには見えずに…。
まだまだこっちの世界の事を知らない。
注意しなくちゃ…。
ドテッ
「ちょっとーーー。
早くこっちに。」
こけてる私を急がせるように叫んでいる…。
逃げ込んだ場所は地下水道らしい。
下水道!?
どっちにしても…。
「本部消えちゃったけど…?」
「困ったわ〜。
他の場所じゃダウンロードしにくんだけどな〜。」
「ダウンロード!?」
「うん。
メインサーバーがそこにあったんだけどね…。
やっぱり最初に狙ってくるよね…。
昨日のうちに出るべきだったわ↓」
なにやら落ち込んでいるように見えるけど
私には理解できない単語がずらずら出てきた。
何から聞いたら良いのかもわからず次の言葉を待った。
「とにかく…サブのサーバーで生きてそうなのを探すわ。
付いてきて。」
地下を移動する為さっきのような動きもできずにテクテク歩いての移動。
その間に疑問を解決しようとする。
「って事は…そのメインがなくなったから予備ので
なんとかしようって事?」
「うんうん。
今はその予備のサーバーのところへ向かっているわけ。
大丈夫よ。
予備は結構あるからそれを全部壊すなんてしないと思うし。
いつかはたどり着けるわ。」
なんだか外側は分かってきたけど結局私がそこへ行けたとして
何をしたいのだろうか…。
地下を歩くこと30分
ようやくその場所へたどり着いたらしく様子を見ながら
地上へ出ると家の中だった。
「あれ…?」
「ん?
平気だよ。
ここなら絶対平気だと思ったんだ〜良かった。」
ミクスがそそくさと奥の部屋へと向かうと忙しそうに
キーボードをいじっている。
「あれでも結構賢いんだぜ。」
ロスちゃんがこそこそとミクちゃんの事を話してくれた。
「だいたい喋んなきゃ結構可愛いんだよな…。」
聞こえていないからって言いたい放題だ。
私はどちらとも取れないようにどうでもいい感じに返事し続けた。
「よし、OK。
準備完了〜。
ロスおいで〜。」
奥の部屋からロスちゃんを呼ぶ声。
なんだかいつもよりも優しい声。
全然聞こえてなかったみたい。
良かった。
しかし、その直後にロスの悲鳴が天にも聞こえてきた事は言うまでもない。
「それで、この画面に映るから見てて。」
「うん。」
痛そうにしているロスをよそに説明する。
「ちくしょう〜。
あの女め(怒
いつか絶対絞めてやる…。」
ミクスがしっかり説明し終わるまでずっと
愚痴や文句をつらつらと一人で言っていた。
だいたいの事は飲み込めた。
簡単に言うとその敵っていうのを懲らしめると良いんだ。
簡単!?
その時建物の外で爆音が起きた。
「まずいわ…もうここも駄目みたい。」
そう言って再び地下へ逃げ込もうとしたが慌ててフタをしめた。
「どうしたの?」
「こっちも駄目…。」
不安そうにするミクスに天が言う。
「こっから出よう。
走って離れれば平気だよ。」
どれほどたくましく見えたのか分からないけど
ミクちゃんは決心したらしく思い切ってそこから外へと出て走り出した。
できるだけ高くは飛ばずに道と平行に1歩で遠くへと急ぐ。
しかし、すぐに見つかった。
見た事もない…いかにも痛そうな物が無数に近くで道に突き刺さる。
「ロス、お願い。」
「OK、ボス。」
それまで後ろにあった気配が消えた。
立ち止まって振り返るとロスが立ち止まって
敵の方向へ向かっていく。
追おうとする天をミクスが止める。
「どうして?
死んじゃうよ…。」
「またコピーすれば良いだけだから…。」
「コピーって…。」
「あいつらはただの機械。
生き物じゃない…。
だから良いの。」
「何言ってるの?
ずっと一緒に行動してたんでしょ?
いくら中身をコピーできたって…。」
一向にこっちを向こうとしないミクちゃんの小さな肩が
小刻みに揺れていたのを今知った。
私なんかよりもずっと一緒にいたんだ。
悲しくないわけなんかない…。
ごめんね。
天は優しくミクスを抱きこむとそのまま急いで走り出した。
その速さは今までの速さとは桁違い。
ミクスとロスに合わせていた分ゆっくり走っていたのだ。
「ごめんね。
最初から私がミクちゃんとロスちゃん抱きかかえて
こうしてれば良かったんだ。」
一言も喋ろうとはしない。
相当ダメージを受けてるみたい。
掛ける言葉が見つからない。
この辺りは全然被害がない。
きっと何もない場所なんだろう。
窓の外には空も見える。
全く変わりのない空。
空を見ているとあいつを思い出す。
たいして話してもいないのにあのインパクト。
あの言葉はこの事を予言していた!?
だとしたら…。
あ〜考えても分からない。
今はこの場をどうするか考えよう…。
駄目だ…。
何も浮かばない。
こういう時に雫がいたらプラス思考でなんとかしてくれるのに。
「雫、どこ行ったの…。」
「ここにいるよ。」
声がした方へ無意識に振り向くとそこには雫がいる。
間違いない。
あの雫。
「良かった。
心配したんだよ、大丈夫?」
「…どうして天がここにいるの。
しかもこいつらの仲間!?」
「な、何を言ってるの?
ミクスたちは侵略されてるから…。
私は選ばれちゃったkら少しでも手助けをって…。」
「…。」
「グランフォール側に付いた人間!?
天、気を付けて。」
雫が無言で手を交差すると氷の刃が無数に現れ
天とミクスを襲う。
「どうして?
雫…。」
避けようとしない天に必死でミクスが全てを破壊する。
「ちょっとー死んじゃうわよ。」
「…。」
更に無数の氷の刃を出現させると一気に
ミクスへと放った。
「いい加減にしてっ。」
天が指輪に触れ力を解放すると溢れんばかりの悲しみに満ちた力が
辺りを取り囲んでいった。
その悲しみに満ちた力はとても重たく
軽い氷の刃は全てその場に落ちてしまう。
「天…。」
雫が落ちた氷の1つを掴むと直接天の胸に突き刺した。
その薄れていく意識の中、
微かに聞こえた。
「ごめんね。」
第06話〜3日目〜