その違和感。
あの時と一緒だ。
廃教会
ボーダー
そして三度目。
…じゃあなんだ…
ルキは既に死んでいた!?
向かってくるルキの足が止まった。
「何をぼーっとしてるんだ。
ここで死ぬためにあそこを出たのかよ?
…何も言えないのか。
ならばもう何も言わないっ。
せめて楽にっ。」
今度こそ本気で加速してリアへと向かってきた。
リアも最後の力を掛けてそれに答えた。
その頃、ニアとアークは建物を破壊しながら森へと入って行く。
「そんなに運命が嫌いかい?」
「黙れ、貴様らには分からん事だ。」
「あーそうだろうぜ。
のうのうと生きられるあんたらにゃ
俺らの必死さなんか伝わってたまるかよ。
…!?」
アークが話している途中でニアの姿が消えた。
その場に止まりニアの居場所を探るが一向に気配すらない。
「ちっ…。
まさか俺が馬鹿だからって置き去りに…。
いや、そんなはずはねえ…。
俺が帰れば色々面倒なはず。」
慎重に辺りを探すアーク。
しかし、それにも限界がありイライラもすぐに頂点へ達する。
「もう面倒だ。
全部焼き払ってやるぜ。」
アークが手を合わせ念じると炎が巻き起こる。
その炎はぐんぐんと大きくなり今にも爆発しそうなまでになる。
「いくぜー後悔しろーっ。」
しかし、それが地に落ちる事はなかった。
アークがそれを放つ前に無数の黒猫たちが
アークの周りを取り囲み動きを封じた。
「なんだこりゃ。
くそっ、とれねえ。」
粘々と絡み付くそれはどうあがいても
取れる事なく動きを完全に封じられた。
「やれやれ。
何かと思えばニア殿ではないか。」
「じゃこうか。」
「進入した奴がいると思って来てみたのじゃが
お主、わざとじゃな?」
「さあな。」
背を向け森を出ようとするニアにじゃこうが続ける。
「お主は何を求めておるのだ!?」
ニアは振り向く事も立ち止まる事もせずに一言だけ言った。
「そいつをあっちへ送っておいてくれ。」
リアとルキの刀が交じ合うごとに共鳴する。
「…。」
いくら決心しても私の心はこんなものか。
目の前にいるのは人か悪魔か…。
ルキはもういないのか…。
迷いが余計にリアを鈍らせる。
只でさえすの速さに付いていけないリア。
徐々に息も上がってきてついには追い込まれる。
「もう後ろは壁だよ。
もう一度聞くよ。
最後かもしれない…屋敷へ帰ろう?」
優しい笑顔になるルキ。
手を差し伸べリアの帰りを本当に願っているかのようだ。
「ルキ。
私は帰らない。
いや、帰れない。」
「分かった。」
ルキの顔が次第に変わっていく。
いや、顔だけではなくその体も。
さすがにこうなると相手がルキではない事を知るリア。
分からない事だらけでも今は殺るしかない。
しかし、何もできずにそれの攻撃を直撃する。
見えない…今何をされた…。
口から大量の血が溢れだす。
それでも手は止まらない。
無数の攻撃を受けリアは放心状態になった。
とどめだ。
と言わんばかりの渾身の一撃がリアへ向けられた。
第16話〜安らぎ?〜