赤い空が落ちてくる。
一面を真っ赤に染め尽くし沈み行く太陽。
あれがずーっと遠くにあるとは
未だに信じがたい。
今、私とノエルは虚世界にいる。
あれは昨日の事。
「ボーダー内にまで魔の者が?」
「そうじゃ…。
わしらが行ければ問題ないのだが
あいにくそうそう行き来していられぬ。」
「そこで私たちに退治して欲しいと?」
って事だけどなぜ私らに頼んだのか
ここまで来てから疑問に思ってみたり…。
「それにしてもこの空間…
一度来たけど気持ちの良いものじゃないよね。」
苦笑しながら言うと
ノエルはヤレヤレとジェスチャーだけで返してきた。
「けど、本当に実世界の方にいなくても平気なの?」
「うん。
そんな長くいるわけでもないと思うし
出来る事はしたいの。
せめてもの償いを…。」
禁忌と言いながら泉を使って
再びボーダーへ来た。
どうせこうなるのなら
魔になる前に決断したら良い事のはずなのに
どうして判断が遅いんだ。
リアは心に色々な疑問を持ちつつ
ノエルの気持ちを尊重した。
ボーダー内にはそれほどの魔の気配も感じられず
そのままどこかの虚世界へと入り込んでしまった。
「平和な世界もあるんだろうね。」
「ん?」
ノエルが夕日を見つめながらしみじみ言う。
「だってここは全然悪い感じしないよ。
きっと良い人ばっかりいるんだよ。」
そんな都合の良い世界はないだろう。
なんてことはリアは言えない。
自分の一族のような人が絶対にいる。
どんな世界だとしても人が集まれば上下関係が生まれ
次第に権力を持ち欲まみれになる奴がいる。
人もいれば魔もいる。
「リア聞いてる?」
「あ、聞いてる。
聞いてるよ?」
「本当ー?」
実際半分くらいだったけど言ってる事はよく分かる。
平和が好きなんだ。
きっと私みたいな生活がノエルには理想なのかもしれない。
ないものねだり…。
「ここにいても、らちあかないし戻ろうか。」
「だね。
さっさとしないと実世界まで危険になるかも…。」
ボーダーはどこでも共通しているらしい。
だったらこの中で来た奴らを全て排除しないと…。
ふとあの時の魔の者を思い出していた。
実体のない魔の者の意識。
なぜ意識しかなかったのか。
なぜ攻撃出来たのか。
さっぱり分からない…。
「何か来たっ!?」
先に反応したのはノエルだった。
凄い速さで近づいてくるそれは
まさにあの時のあれと酷似していた。
もう入れ替わらない…。
私はそのために強くなるんだ。
刀を強く握りなおし決意した。
第02話〜虚世界との狭間2〜