生まれた世界を実世界という。
それとは別にあるのが虚世界。
実世界で選択している重大な決断の
選択されなかった選択をしている世界。

戦いにおいては常にそうかもしれない。
自分が生きているという事は
別のどこかの虚世界では自分はいなくて
戦っていた相手がいるかもしれないんだ。

虚世界。
私が旅に出なかった世界があるのなら
ルキもいるのかもしれない。

だが、探すにもそれがとてつもなく危険だと知っている。
同じ地域にいる二人だから
たとえ見つけれてももう一人の自分と会ってしまったら
とんでもない事になってしまう。

そんな事を考えていると
食料を調達してきたノエルが戻ってきた。

「おまたせー。」

町まで行ってきたのだ。
自分がいるかもしれないというのに
どうして気軽に行動できるのか…。

ソーセージ、チーズ、パン。
キャベツ、マスタード、マーガリン。
ケチャップ。

ホットドックの材料だ。

料理自体の準備は簡単だが火がない。

「火はおこすんだよ。
その辺に枝とか落ちてるでしょ。」

当たり前じゃん…みたいに言われても
そんな事はした事がなかった。

1からノエルが教えてくれる。
火をおこす方法から
それを維持する方法。

火が良い加減になると火の上に調理済みの
ホットドックを乗せた。

次第に温まっていくのが目でも分かる。
チーズが溶けだすとパンを用意していた皿に乗せ完成。

「どう?」

リアが食べるのをじーっと見るノエル。
食べづらさを感じながらも一口食べると
その美味しさに感動すらしてしまった。

「…ノエルって料理の天才!?」

「あはは、一人で野宿とかしてると
こういうのは誰でも出来るようになるよ。
いつもその辺に居る動植物じゃね…。」

ぎくっ…。

リアは何も言わずに黙々と食べる事にした。


第04話〜星たち〜


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