静かな夜の廃教会。

少し眠たそうにしているちっちゃなノエル。

「じゃあ私が合図したらお願いね。」

こくりとだけうなずくと
ちっちゃなノエルは集中し始める。
リアも力を込め
祈りを込め合図する。

ちっちゃなノエルの放つそれが
はっきりと見えるわけではない。

始めて会った時にされたあの技。
気が付くと扉の前からノエルの
隣に引き戻されたあれ。

あの力に大きな衝撃が加わればきっと。

リアは力一杯に刀を振り下ろした。

「…あれ?」

『ヤレヤレ…。』

さっぱり動いていない。

『無理なんだよ。
所詮まだガキだ。
力が弱すぎるんだ。
お前の力に耐えられずに消滅してしまう程度…
あれじゃいくら合わせたってボーダーを
超えられないぜ。』

ちっちゃなノエルが申し訳なさそうに
不安な顔をしている。

「ノエルちゃんは全然悪くないのよ?
無理言って頼んでるんだから。」

そう言ってリアはノエルをぎゅ〜っと
抱きしめる。

温かい。
あのノエルと同じ匂い…。

「もう1回…。
お姉さんもう一度…。」

「けど…。」

「次は手加減なんてしないから大丈夫…。」

そう言うと私の手を離れて
再び集中し始める。

さっきよりも力が強い!?

『手加減とはな…。
世界によって生まれ持つ力の大きさも違うらしい…。』

これなら行ける…。

リアは思いを込めてもう一度
刀を振り下ろした。



「行ってらっしゃい…お姉さん。」

はっとした。
あの笑顔…あの笑顔は何…。





気が付くと森の中だった。
暗い…夜だろうか…。

『リア気が付いたか。
悪い知らせだ…ここは実世界じゃないぜ、多分。』

そうか…上手く飛べなかったんだ。

『何時間も経ってるのにずっと夜なんだ。
おかしいだろ?』

「…森の中だから光が差さないだけじゃ…。」

『…。』


第10話〜ノエルはどこへ?〜


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