「リア、お帰り。」

…私は帰ってきたわけじゃない。
確かめるために来ただけだ。
そう…どうしてニア兄さんが私を
逃してくれたのか。
どうして追っ手から助けてくれたのかを。

「丁度良い。
兄さん聞きたい事があって戻ってきた。」

妙な事を言うね。
聞きたい事?
運命からはみ出そうとしている者が
今更何を聞きたいと?
真正面から屋敷まで来て他の者に
見られでもしたら厄介じゃないか。」

皮肉にも取れるが心配してくれてるよにも取れる。
いつもそうだった気もする。
何かあるとかばってくれたのは兄さん。
何歩も前にいる。
そんな感じがする。

「なぜ私を逃した?
なぜ助けたりした?」

「答えるつもりはない。
用がそれだけならさっさと帰るんだ。
ここはもうお前の来るところではない。」

そう言うと屋敷の中へと入っていってしまい
それ以上リアの声は届かなかった。



「十分じゃない?
全然敵じゃないよ。
むしろ味方になってくれてるんだよ。
言えない事情とかあるんじゃないかな〜!?」

もぐもぐと昼食を取りながら話す。

「う〜ん。」

特に心当たりはない。
昔からそういう関係だったようにも思えるが
こういうは兄妹としては普通だろうか?
あの家系においての禁忌とも言える
運命からの離脱。
二度も私を助けた上にさっきも
屋敷まで行ったのに捕まえようともせず
見てないふり…。

「やっぱり不思議…。」

「じゃあ不思議で良いじゃん。
別に答えなんか要らないよ。
運命に答えなんか要らない。
したいからするリアと同じなんだよ、きっと。」

したいからする…同じ…。
そうなんだろうか…。
あんなに近かったはずのニア兄さんの事が
まったく理解出来ない。

「どうしても気になるなら夜にでも進入とか?
昼間行くのはやっぱり危ないよ…。」

「うん…。」

心配そうに見つめてくるノエルに
ヨシヨシされるとまったく逆らえない…。


第02話〜森1〜


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