時間は夜11時を回った頃。
昼間と違い屋敷の周辺には怪しい気配がする。
昔から夜は出歩くなと良く言われていたが
どういう事なのだろうか。
屋敷に続く一本道を真っ直ぐに行くと
まず見えてくるのが大きな門。
昼間は開いていて別に制限なく
誰でも出入り出来たが
夜にはしっかりと閉ざされていて
二人ほど守衛らしき影が見える。
「なんか昼間の方が楽じゃない…?」
「そ、そうかも…。」
これじゃあ待った意味がない。
けど、昼間じゃ兄さんと長く話せない。
夜じっくり話をするしかないんだ。
なんとしても答えを聞かないと
気になって仕方ない。
仕方なく二人は門から堂々と入る事を
諦めて林の中をさ迷いながら屋敷へ近づく事にした。
門から東西に伸びる塀はずーっと遠くまで
続いてて切がないようにも見える。
「どうするの?
どこまでも続いてるみたいだけど。」
「任せといて。」
ノエルがそう言うと冷気を集め
階段を作り始めた。
それは見る見るうちに簡単に超えられるほどの
高さにまで積み重なって行った。
「なるほど〜。
ノエル賢いっ。」
えへんと自慢げにするノエルをよそに
リアはスタスタと上り始める。
「ちょっと待ってよ〜。」
乗り越えたは良いがその下は森になっている。
屋敷は広大な森の中にぽつんと建っていて
道はさっきの所の一本しかない。
「なんだが不気味な森だね。」
「だ、大丈夫だよ。
道に戻ればきっと灯りもあるし。」
当然誰も通らない場所にまで灯りが
届く事はなく月明かりだけを頼りに
道のある方へと向かうが一向に道らしきものが見当たらない。
「おかしいな…。」
だいぶ歩いたのにずっと同じ場所にいるみたいな
感覚におちいる。
「もしかして迷ったとか…。」
ノエルがぼそっと言うと慌てて否定をする。
「ま、まさか。
ずっと昔からいたんだから大丈夫だよ。
もう少し行けば出れるはずだから…。」
それから30分…。
「ねえ…もうとっくに道に出てても…。」
「うっ…。」
ノエルの視線が痛い。
「だって真っ直ぐ塀のところ歩いてるのに
全然道に出ないなんて…。」
「それもそうだけど…さっきから誰かずっと付いてきてるよ。
森に入った時から。
別に殺気も何もないからほっといたけど…
動物か何かかな?」
リアはまったく気が付いていなかった。
注意して探ってみると確かに少し離れた位置に
何かの気配がする。
それも1つじゃない。
似たようなのが3つ4つ…。
「何か動物でも飼ってるのかな、リアんちで…。」
覚えがない。
森には入るなって言うのもよく言われてた。
内が居るにしても見つかっているのは事実。
それでももう30分以上
誰も来ない。
だったら単独で行動してる何か?
普通に野生の動物かもしれない。
「なんかやばいような…かなり囲まれてるよ。」
本当だ…。
いつの間にこんなに大量に…。
明らかに囲まれてる。
逃げ場がない。
第03話〜森2〜