それから間もなく森を抜け本来の道へ戻る事ができた
リアとノエルは屋敷の手前までやってきた。

不気味にそびえ立つ屋敷は
ろうそくの灯りに照らされ余計に不気味さが増す。

「どうして屋敷の回りには誰もいないの?」

ノエルが当然とも思える事を聞いてくる。

「夜、屋敷に入れる者は能力者のみ。
だから警備はまったく意味がないの。」

「そう…。
じゃあじゃあ、屋敷には誰が居るの?」

「うーん。
夜はニア兄さんに…
執事のバルバドスとアーリン。
それに父、母。
後はその時によってだけどいつもいるのはそれくらいかな?」

リアは少し前の事なのになんだかあやふやな答え方をした。

「こんな広いのに夜はほとんどいないんだね。」

「そうだね。
昼間ならかなり部外者もいるから
全然知らない人もいたりしたけど…。」

なんか昼間来たほうが楽だったような気がする二人は
落ち込みながら入れる場所を探した。

屋敷にそれほどいないとしても少なくても良い理由がある。
執事のバルバドスは屋敷に入った者の気配をいち早く察知する能力を持っている。

「どこから入っても同じだから
出来るだけ近い場所から入ろう。」

昔のままならニア兄さんのいる場所は屋敷の奥にある部屋。
と、向かおうとした時だった。
数本の弓がわざと足元に落ちるように飛んできた。

「お嬢様、お帰りなさいであります。」

顔を見なくても分かる声。

「アーリン…。」

意外だった。

先に見つかるならバルバドスだと思っていたからだ。

「今朝お見えになった時にどれほど嬉しかった事…。
しかし、すぐに引き返してしまった時はすんごく寂しかったであります。」

あいかわらず変な言葉使い…。

そして振り返って見えた姿に驚いた。
以前とは違い普通の格好をしていた。
以前なら執事とは思えない迷彩服を来た狩人としか
思えない格好だったのだが誰に指摘されたのか前よりはずっと普通だ。
相変わらずピンクの髪だが腰ほどまであったのもショートにまで短くなっている。
服装にいたってはメイドが着るような服だ。
いや、メイドと言うよりも…。

「もしかしてずっと外にいたの!?」

「いたであります。」

かぁ〜本当変わって無い。
変なところで大真面目だ。
昔からそうだった。



「じゃあアーリンが鬼ね。」

「わかったであります。」

私とアーリンは夜、よくかくれんぼをしていた。
たまにはこういう事もあった。

「ぐ〜〜ぐ〜〜〜。」

「どこでありますか、お嬢様。
いないのであります。」



アーリンは人を見つけるのが苦手だった。
隠れていてもずっと見つからない事もよくあった。
だから寝てしまったり、かくれんぼしている事自体忘れてしまったり…。
それでも私の事を一回も怒った事なんかなかった。

「リア。」

つんつん

ノエルがリアをつついて小声で聞く。

「見つかったけど平気なの?」

「たぶんね。
アーリンとはずっと親子みたいな姉妹みたいなもんだったから。」

ニコニコしながら言うリアを見て安心したノエルだったが
決して気を緩める事はない。

「さあ、屋敷の中へ入るであります。」

アーリンがリアの腕をぎゅ〜っと握り締め戻るように促す。

「戻ってきたつもりはない。
ニア兄さんと話がしたいから来ただけ。」

「そうでありますか…それは残念であります。」


第05話〜屋敷の前庭2〜


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