「ニア兄さん!?」
「よう。
言いたい事があってきた。」
リアは驚きすぎて思考停止してしまった。
「リア?」
待て…バルバドスはどこへ行ったんだ。
なぜ消えてニア兄さんが現れたんだ。
考えているうちにニアがリアの側までやってきて笑っている。
「まだまだか…。」
何かをつぶやいている。
まるで私のことなど見ていないように…。
「バルバドスならもういない。」
いったい何をしたんだ。
ゆっくりバルバドスが攻めてきて
反撃しようとしたら消えた。
分からない。
「空間の封鎖。」
「!?」
「一定距離の空間を一定時間封鎖出来る。
それがさっきの能力だ。
まったく見えてないわけでもないのか…。」
まだ言ってる事があまり理解できない。
「つまりだ。
奴がお前を仕留めようとした時から空間を封鎖していた。
多少でも動いて見えたのなら…。」
そうか。
私が見たあのゆっくりの動きは時間を極端に遅くしたってことなのか。
じゃあどうやってその中を…。
「その中でも俺は普通に動けるわけだ。
ほぼ止まっている敵なんてのはどうにでも出来る。」
敵?
執事が敵だと言うの…。
これがアーリンだったら?
やっぱり消えちゃうの…。
アーリンとは凄く仲が良かったがバルバドスとは
全然会話もしない仲だった。
何も知らずにずっと今まで…。
「で、ここへ来たわけだが…。
一度あっちの空間を開いているな。」
「あっち?」
「空間を隔離したはずだ、屋敷の外で。
アーリンが見てたんだろう?」
あれのことだ。
とっさにしたドーム状の空間。
「それがどうした。」
私、ニア兄さんを警戒してる…。
敵なのか味方なのかまったく分からない。
「1つ教えに来た。
やはり運命には逆らえない。
…知りたければボーダーへ行け。
もう答えが出る頃だ。」
「それはどういう意味!?」
聞こうとした時には既にニア兄さんの姿はなかった。
いったいどういうつもりなんだ。
毎回毎回。
そう言いながら一人ボーダーへ向かったリアは
ボーダーへの入り口がぽっかり開いた泉を見ていた。
「どうしたというのだ…。」
だが考えている暇は無い。
リアはぽっかりと開いたボーダーへの入り口へと入っていった。
第11話〜扉〜