あの世。
死者の居る世界。
会いたい人にもう一度会えるかもしれない…。
「うーん、これがあの世の扉なのね。」
「うんうん…ってなんで付いて来てるのさっ!?」
一人と思ってボーダーまで来たのに
後ろにはノエルが背後霊のようにぴったりくっついてきていた。
「やっぱ離れたくないよ。」
ノエルがリアの服の裾をぎゅ〜ってひっぱって言う。
よしよし。
リアはゆっくりとノエルの頭をなでて抱きしめてあげた。
「危険かもしれないけど平気?」
「うん…それに死んだ人に会えるなら行かなくちゃいけない。
いっぱい伝えないといけないことあるから。」
誰にでも一人くらいはいる。
死んじゃった人に会いたい。
あの人ともう一度喋りたい。
一言でも良いから伝えたい。
願いを込めて時間を封鎖するとその扉を取り囲むようにして
リアとノエルを黄金の光が取り囲んでいく。
「あの時の!?
温かくて気持ち良い。」
「扉、開くよ。」
徐々に開いていく扉の向こうはあの世。
死者のみが入れる禁断の場所。
開ききった扉の向こう側は何も見えない。
真っ暗な壁がそこにはある。
「本当にあの世と繋がってるのかな。」
明らかに他の扉とは形が違う。
そんな事であの二人が私を騙す必要もないはず…。
何よりこの扉の向こう側から伝わってくるこれは何?
悲しくて冷たくて痛くて…けどどこか温かい。
ゆっくりと指先をその空間へと近づけていく。
「…。」
「気を付けて。」
指先がその空間に触れるとなんとも言えない感触が伝わってくる。
いや、流れ込んでくるような感じだ。
思わず手を引っ込めるリア。
「大丈夫!?」
「ん…なんか違和感はあるけど別に痛みとかはないみたい。」
二人はお互いの顔を見て、
手をしっかりと握って、
一緒にその期待と不安の詰まっている
闇の中へと飛び込んで行った。
第02話〜花畑〜