廃教会…もとい死者を呼ぶ教会は目の前まで来ると
その巨大さに驚くしかなかった。
端から端までがどこまであるのかも見えず
その高さもまた同じだった。
浮いているそれに入るのは簡単だが誰もいない。
中に入れば誰かいるのだろうか。
ノエルが氷で教会までの階段を作ると
すぐにそこから教会の入り口へ向かう。
「ねえ、リアのお兄さんは何しに来たのかな?」
「あの人…何考えてるか分かんない…。」
まったく思い当たるふしがない。
答えは次会えばその時分かるはず。
大きな扉まで来ると強い風が吹く。
飛ばされないようにノエルの手をしっかり掴む。
「ありがとう、リア。」
「うん。」
大きな扉は簡単には開きそうにない。
と、リアが試しに触ってみると
意外と簡単に開いてしまった。
「あれ!?」
拍子抜けしたリアにノエルはぷっと笑った。
「も〜。」
「良いじゃない。
開いたんだから〜。」
「そうだけどなんかさ…。」
二人は顔を見合わせると意を決して中へ入って行った。
そこには実世界ではなかったあのマリア像の笑顔が見えた。
その微笑みは深い悲しみに塗られた偽の笑顔に
リアは見えてしまった。
「どうしたの、怖い顔して?」
「…なんでもない。」
そして回りにある長椅子には無数の人々が座っている。
静かに何かの順番を待つかのように。
「この人たちって…。」
「うん。
もう皆自分の意思もないと思う。
ただどこかへ連れて行かれるのを待ってるかのように…。」
二人は何か手がかりがないか調べ始めた。
ニアとじゃこうが何の目的でここへ来たのか。
それからしばらくの間教会内を探したが
まったく手がかりは見つけられなかった。
「これからどうしようか。」
ノエルがため息混じりな声でリアに問うが
リアは答えに困った。
教会になんの手がかりもなく
外はどこまでも花畑しかない。
本当にニアとじゃこうがここへ来ているのはすら
夢だったんじゃないかと思わせるほどだった。
ふと、像を見ているとさっきと何か違う事に気が付いた。
動かした形跡がある。
リアが近づき押してみると
また簡単にそれが動いてしまう。
「これって…。」
ノエルが覗き込んでくる。
そこには地下へと続く階段があった。
「どこまで続くんだろう?」
結構降りたにもかかわらず一向に階段の終わりが来ない。
「わかんないけど…。
さっきとは確かに違ったから誰かいるはず。」
そう。
それは確か。
死者じゃない誰かがあの像を動かして中に入って行ったんだ。
それからしばらく降りるとようやく最後の段を降りきった。
そこからまたしばらく細い廊下を進むと広い空間へと抜けた。
「ニア…。」
「リア!?」
まさか来るとは思ってもいなかったかのような顔をされ、
リアは決意した。
第04話〜リアとニア〜.