ぴーちゃんを頭に乗せているリム。
それをいつ抱きしめようか狙っているリア。
そのリアが飛びつかないように見張っている私…。
私って何しに旅に出たんだっけ…。
とにかく魔の者のいなくなった廃村。
これで人が戻ってくるかと思うけど…。
「本当に良いの?」
「うん。
ここにいても僕の居場所はもうないんだ。
魔の者をかくまってた化け物の仲間だって…。
だから一緒に行きたい。」
「リア…。」
私がリアに助けてーって視線を送ると何を勘違いしたのか
率先して連れて行く方向へ持っていく。
「じゃあ出発しようー。」
「おう。」
行く気満々な二人と1匹…。
リムとぴーちゃんが先に進んでいくとリアが近づいてきた。
「良いじゃん。
あの子、私たちと同じなんだよ。」
そっか…。
親も居場所もないんだ…。
ここで私たちが拒否したらあの子は一人になっちゃうんだ。
…ごめんね、リア。
何も分かって無くて。
その村を後にすると海沿いに出た。
どこまでも続く海岸。
そして真っ青な海が広がっている。
だが、そこにはぽつんと建物がある。
「なんだろ、あれ。」
「あれは美味しいたこ焼きのお店だよ。
あの辺はたこ取り放題だからたこ焼き屋さん。」
単純だ。
ものすごく…。
けど…。
「ノエル〜〜寄って行こうよ〜。」
「はいはい。」
私が早足でそこを通り過ぎようとすると
二人して私の腕を引っ張って引き止めようとする。
「こら〜ちぎれるって怪力女どもっ。」
私が小さな冷気の球をこれでもかってほどにぶつけてやると
二人は姉妹のように同じ格好になってうずくまって
お願いだから買ってよ〜な目で訴えかけてくる。
「あのね…はぁ…分かったからそういう目止めて。」
ああいう目されるとなんか胸が痛い。
悪い事してるのがこっちのような気分になる。
仕方なくそのたこ焼きを10箱買うと
がむしゃらに取り合ってそれを食べ終えてしまった。
「…結局ノエルが一番食べてるし。」
「そーだ、そーだ。」
「文句言わないの。」
「だいたい私のお金…。」
「あんたに持たせてたらいくらあっても足りないって。」
ごもっともと言った感じで言い返せないリアに勝った私は
もう1箱だけ買うとぴーちゃんにあげた。
第03話〜夜空〜