「ここはどこでありますか…。
お嬢様はどこでありますか…。
ノエルさんはどこでありますか…。」

どこかの森で迷っているのはもちろんアーリン。
ニアの指示で二人をしっかり護衛してくれの事。
そのはずが追いつくに追い付けない理由があった。
アーリンは極度の方向音痴だった。



すっかり日も暮れてノエルたちはそのまま浜辺で夜を向かえる。
その空はとても綺麗でその時の空を思い出す。

私があの晩に見た空もこんな空だった。



あの事件の夜。
私はあの後…。

そう、錯綜する中で空の輝きだけが私を包み込んでいた。
なぜ何もしなかったのだろう。
男の顔も分からない。
なぜうちに入ってきたのかも分からない。

「ノエル?」

「ん?」

「どうかしたの?」

「え?」

自分でも気が付かなかった。
自分の頬をつたう一筋の涙。
おかしいな…止まらないや。

わけもわからない私に二人は優しく包み込んでくれる。
私はもう一人じゃない。
仲間がいて守らなきゃいけない人もいる。
知らなきゃいけない事もある。
やらなきゃいけない事もある。

ありがとう。
暗くたって何も怖がる事なんてないんだ。
あの時を思い出したって逃げる必要もないんだ。
私は一人じゃない。



やがて朝が来た。
私にはこんなにも寝顔の可愛い天使が2人…
2人と1匹いるんだ。


第04話〜水〜


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