「地獄!?」

「そうだよ。
きっと…龍の巣から流されて来ちゃったんだね。」

「龍の巣…えっと…。」

「!?」

「名前は…。」

「ネムで良いよ。」

ネムが言うにはあの海の特定の場所から
吸い込まれると地獄へ流されるらしい。
広い地獄じゃどこへ流されるかもわからず
そのほとんどは鬼に食われるか餓死してしまうらしい。

「普通の人間だともって1週間くらいでしょう?」

妥当かもしれない。
じっとしていれば…。
しかし、なぜ助けてくれたのだろう。

「どうしてネムは私を助けたの?」

そうだ。
このネムもきっと鬼なんだろう。
鬼にも色々といるのだろうか。

「匂い。
鬼の匂いがしたから。」

おそらくリムの事。
想像していた鬼とはまったく似てもいない。
角もないし怖さもない。
それどころか可愛い…。

「ここには人間を見たら即噛み付くのもいるけど
あいつらは野蛮すぎ。
迷い込んだ人間はちゃんと現世に返さないと。」

どうやら私は良い鬼に見つかったらしい。
二人が心配だ。

私は二人の事を話した。

「それは100%鬼の子だから食われる事はないな。
もう一人はどうか知らないけど。」

「お願い。
なんとか探せないの?」

「そう言われてもここは広いから
簡単には探せないよ…。」

困った。
リアなら最悪、鬼にも勝てるかもしれないけど
それはそれでなんかやばそうだし…。
困った…。

「ありがとう。
私行くね。」

これ以上世話になるのもなんだから私はひとりで探す事にした。

「行ってしまうのか…。」

久々の客だったのか随分寂しそうにしているが
リアをほってはおけない。

「ごめんね…。」

それから見えなくなるまでずっと手を振ってくれた。


第06話〜鬼〜


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