2008年9月30日(火)
そうだ。
こんな苦しいなら飛び降りれば良いんだ。
そうしよう。
何も考えられない。
もうなんの希望も無い。
なら…。
せめてお母さんのいる場所へ行こう。
誰も悲しまないし
その方がお母さんだって1人ぼっちにならないで済む…。
ゆっくりゆっくりと
真っ暗な階段を登って行く。
1段1段と登るごとにお母さんへ近づいて行く。
もうすぐ行くからね…。
見えないまま屋上への扉を開くと気持ち良い風が体を包んでくれる。
誰かの声がする。
まだ昼間だしいるのも普通。
それも無視してより子はまっすぐに歩いて行く。
いつ落ちるかも分からないのに
恐怖は何もない。
そう、怖い物なんてこの世界にこれ以上いる事以外に
何もあるはずがない。
何もかも失って今更失う物なんて1つもありはしない。
!?
急に何かにぶつかった。
手すり?
そうか。
柵くらいあるよね。
飛び降りれないんだ。
それでもなんとかしようと手すりを超えようとすると
周りからざわざわと声が聞こえてきた。
その中にはみやこさんもいた。
「何する気なの、より子ちゃん!?」
「みやこさん?
ほっといて、もう私なんて意味なんだよ。
お母さんの所へいくの。
大好きだったお母さん。
お母さんしか私にはいないのに…
もう誰もいない。
もう生きてたって地獄だよ、こんなの。
だからお母さんの所へ行くの。」
「…それで良いの?
お母さんに会いに行ってそれで終わりで良いの?
そんなのずるいよ。
より子ちゃんちゃんと頑張るって退院の時約束したじゃない。
1人で逃げるなんてずるいよ。」
逃げる!?
逃げてるの、私。
…けど…お母さんのいない人生なんて意味ない…。
これから1人で生きるの…。
そんなの無理…。
足音が近づいてくる。
みやこさん!?
「こないで!」
「より子ちゃん…。」
「それ以上来たら落ちるから。」
もう既に柵のあっち側にいるより子。
しかし都は構わず近寄る。
「みやこさん止まって!?」
「止まらないよ。
私はより子ちゃんを助けたい。」
助けたい?
どうして…。
分からない…。
考えていた時、既にみやこさんは私の腕を掴んでいた。
「!?
止めてっ。」
より子が手を振り払おうとした時、
足が滑ってそのままバランスを崩してしまった。
「より子ちゃん!?」
「イテテ…。」
3階から真逆さまかと思ったら柵のあっち側は
2段ほど階段になっているだけで向こう側まで真平ら地面が続いていた。
「こら。
また怪我増えちゃったじゃない。
あちこち怪我なんかしたらお母さん悲しむよ。」
そのままベッドまで連れ帰された私。
「じゃあおとなしくしてるのよ。」
「…みやこさん。」
「ん?」
「ごめんなさい。
あんな事して…。」
「謝る相手が違うでしょ。
お母さんに謝りなさい。」
「…うん。
ありがとう、みやこさん。」
第17日〜本当に死んじゃったの?〜